ラクタノ AI編集部
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今週は、AI業界の勢力図を塗り替える大型の提携と、ソフトウェアからハードウェアへの領域拡張が象徴的な一週間となりました。AppleはSiriの強化においてGoogleとの連携を選択し、OpenAIはジョナサン・アイブ氏と共に「スマホの次」を狙うデバイスを正式に発表しました。また、モデルの世代交代も進んでおり、GPT-4oの終了とGPT-5.2への完全移行が決定的となっています。
今週のハイライト
Apple、Siriの基盤モデルにGoogleのGeminiを採用
AppleはSiriおよびApple Intelligenceの基盤となる外部AIモデルとして、GoogleのGeminiを採用する方針を固めました。当初有力視されていたAnthropicのClaudeは、コスト面や消費者向け機能への適合性の観点から見送られた模様です。AppleはすでにChatGPTとの提携を発表していますが、Geminiを加えることでユーザーに複数の選択肢を提供する「マルチモデル戦略」を強化します。
これにより、GoogleはiPhoneという巨大なプラットフォームを通じ、モバイルAI市場での影響力を劇的に拡大することになります。日本市場においても、年内のApple Intelligence対応時に、Siriを通じてGeminiの高度な機能が利用可能になる見込みが高まっています。
OpenAI、初の自社開発AIハードウェアを正式発売へ
OpenAIは、元Appleのデザイン責任者ジョナサン・アイブ氏と共同開発した初のAIハードウェアデバイスを、2026年後半に発売すると発表しました。このデバイスは画面を持たない「アンビエント(環境型)」インターフェースを採用し、音声や視覚を通じてAIが自然にユーザーをサポートします。
2025年の企業買収を経て垂直統合モデルを構築しており、最新のGPT-5.2やRealtime APIを統合した極めて低遅延な対話を実現します。日本はOpenAIの重要拠点であるため、世界最速レベルでの展開が期待されており、スマホに代わる次世代プラットフォームとして注目が集まります。
新機能・リリース
- OpenAI、GPT-4oの提供終了とGPT-5.2への完全移行
OpenAIは2026年2月13日をもって、GPT-4oやo4-miniなどの旧世代モデルをChatGPTから廃止することを決定しました。利用率の低下に加え、最新のGPT-5.2が「温かみ」のある対話スタイルを継承し、完全に代替可能となったことが理由です。開発者向けのAPI提供は当面継続されます。
- Google、Gemini 3 Proのエージェント機能を強化
次世代モデル「Gemini 3 Pro」のアップデートが公開され、マルチモーダル推論-reasoning)と自律エージェント機能が大幅に向上しました。特に複雑なコーディングやデータ分析において、前世代を凌駕する処理速度と正確性を実現しており、開発者の生産性向上に寄与します。
- データプライバシーデー2026:企業利用への警告
データプライバシーデーに合わせ、個人のAIアカウントを業務利用することによる情報漏洩リスクが改めて警告されました。これを受け、主要ベンダー各社は企業向け管理機能やプロンプトインジェクション-injection)対策の強化を相次いで発表しています。
注目の新ツール・サービス
- Mistral AI、コーディング特化エージェント「Vibe 2.0」を発表
Mistral AIは、次世代コーディングモデル「Devstral 2」と、それを搭載した開発エージェント「Vibe 2.0」をリリースしました。特に123Bモデルはベンチマークで世界トップクラスのスコアを記録しており、ターミナルネイティブな操作で複雑なコード修正やリファクタリングを自律的に実行可能です。
- Semrush、AI検索対策ツール「Semrush One」をローンチ
SEO大手のSemrushは、ChatGPTやPerplexityなどのAI回答内でのブランド露出を最適化する「Semrush One」を公開しました。従来のSEOに加え、AIエージェントに引用されるための「AIO(AI Optimization)」を支援する初の統合プラットフォームとなります。
- Google NotebookLM、資料からスライドを自動生成
AIリサーチアシスタントNotebookLMに、読み込んだ資料からインフォグラフィックスやプレゼン資料を自動生成する機能が追加されました。Gemini 3の推論能力を活用し、データの構造化からデザイン配置までを一貫して行うことで、資料作成時間を大幅に短縮します。
業界動向
- ロボットAI企業「Physical Intelligence」が評価額56億ドルに
汎用的な「ロボットの脳」を開発するPhysical Intelligenceが6億ドルを調達し、評価額が56億ドルに達しました。特定の機体に依存せず、多様なハードウェアで家事などの実世界タスクをこなす基盤モデルの開発を加速させています。
- NVIDIA、CoreWeaveへ20億ドルの追加投資
NVIDIAは、AI特化型クラウドプロバイダーのCoreWeaveに対し、20億ドルの戦略的投資を実施しました。急増するGPU計算資源への需要に対応するため、インフラ拡大と両社の連携をさらに強固にする狙いがあります。
- AlphaGoの父デビッド・シルバー氏、新会社設立へ
Google DeepMindでAlphaGoを率いたデビッド・シルバー氏が退職し、新スタートアップ「Ineffable Intelligence」を設立しました。強化学習の世界的権威による独立は、次世代の意思決定AI開発における大きな転換点として注目されています。
規制・政策
- 米トランプ政権、AI規制の連邦一元化を推進
トランプ政権は、カリフォルニア州などの独自AI規制を制限し、連邦法による一元管理を進める大統領令の方針を固めました。州ごとの規制乱立を防ぎ、米国内のイノベーション環境を統一することで、国際競争力を維持する狙いがあります。
- 日本政府、AI知的財産に関する「プリンシプル・コード」案を公表
AIと知的財産権の保護を両立させるための指針案が公表され、パブリックコメントが開始されました。著作権侵害リスクへの対応や開発プロセスの透明性確保を目指す、国内初の本格的なソフトローとして議論が進んでいます。
EU AI法の施行に伴い、AIによる非同意の性的画像生成への取り締まりが本格化しています。フランスなどではSNSへの年齢制限導入も検討されており、法規制と技術的手段を組み合わせた安全対策が急ピッチで進められています。
研究・技術動向
- 「AI Overviews」普及で自然検索クリック率が6割減
GoogleのAIによる直接回答(AIO)の一般化により、従来の検索結果のクリック率が最大61%低下したとの調査結果が出ました。ユーザーが検索画面だけで用件を済ませる「ゼロクリック」が加速しており、Webサイトへの送客を前提とした従来のSEO戦略は根本的な見直しを迫られています。
- AI時代の人間には「現場の暗黙知」が重要に
AIによる戦略立案の自動化が進む中、人間に求められる役割の再定義が議論されています。AIがアクセスできない現場の実体験に基づく「暗黙知」や、自ら仕事を再設計する「ジョブ・クラフティング」能力が、新たな競争優位の源泉になると指摘されています。
まとめ・来週の注目
今週は、AppleとGoogleの提携やOpenAIのハードウェア進出など、AIが「アプリの中」から飛び出し、OSや物理デバイスと一体化する動きが顕著でした。また、検索トラフィックの激減データは、Webエコシステムの構造変化が待ったなしであることを示しています。
来週は、各社が進めるエージェント機能の実装状況や、それに伴う新たなセキュリティ対策の議論に注目が集まりそうです。
