ラクタノ AI編集部
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1. はじめに:中小企業DXの切り札「GPTs」とは
「自社のマニュアルを完璧に記憶したAIが欲しい」「顧客からの問い合わせに、自社製品の仕様に基づいて自動で回答案を作ってほしい」
そんな経営者や実務担当者の願いを叶える機能が、ChatGPTのGPTs(ジー・ピー・ティーズ)」です。
2024年、このGPTsが大きな進化を遂げました。最新の超高性能モデルGPT-4o(オー)」に完全対応し、さらに作成したAIを無料ユーザーでも利用できるようになりました。
これまで「AI導入は高コストで難しい」と諦めていた中小企業にとって、これは月額数千円から始められる「デジタル社員」雇用の絶好のチャンスです。本記事では、この新機能を活用して、明日から業務を効率化する方法を解説します。
2. 概要:何が変わったのか?
今回のアップデートのポイントは大きく2つあります。
① 最新モデル「GPT-4o」への対応
GPTsの頭脳が、OpenAI社の最新モデル「GPT-4o」になりました。これにより、従来のモデルに比べて応答速度が劇的に向上し、日本語の理解力や資料の読み取り精度も高まっています。「AIの回答が遅くてイライラする」というストレスが大幅に軽減されました。
② 無料ユーザーへの開放(ここが重要!)
これまで、作成されたGPTsを利用できるのは有料プラン契約者だけでした。しかし今回の変更で、「利用するだけ」なら無料アカウントのユーザーも可能になりました。
これにより、例えば以下のような使い方が現実的になります。
- 社内展開: 有料アカウントを持っていないアルバイトやパート社員に、業務マニュアルAIを使ってもらう。
- 顧客提供: 自社製品のサポートAIを作成し、Webサイトを通じて一般のお客様(無料ユーザー)に使ってもらう。
※ただし、GPTsを「作成」するには、引き続き有料プランが必要です。
3. 具体的な使い方:プログラミング不要で「デジタル社員」を作る
GPTsの作成に、難しいプログラミング知識(コードを書くこと)は一切不要です。チャット形式で会話するだけで作成できます。
手順1:作成画面を開く
ChatGPT(有料版)の画面左側メニューから「Explore GPTs」をクリックし、右上の「+ Create」ボタンを押します。
手順2:AIと会話して基本設定(Createタブ)
画面左側の「Create」タブで、作りたいAIのイメージを伝えます。
- 入力例: 「新入社員向けに、就業規則について答えてくれる『総務アシスタント』を作って」
すると、AIが自動的に名前やアイコン画像を提案してくれます。気に入ればそのまま進め、修正したければチャットで指示を出します。
手順3:知識を読み込ませる(Configureタブ)
ここが最も重要なステップです。「Configure(設定)」タブに切り替えます。
* 例:「あなたはベテランの総務担当者です。常に丁寧な言葉遣いで、アップロードされた資料に基づいて回答してください。資料にないことは『わかりません』と答えてください。」
これで、AIはアップロードされた資料の中身を学習(参照)し、それに基づいた回答ができるようになります。
手順4:プレビューと公開
右側のプレビュー画面で実際に質問し、正しく回答できるかテストします。問題なければ右上の「Create(またはUpdate)」ボタンを押し、公開範囲(自分のみ・リンクを知っている人・GPT Storeで公開など)を選択して完了です。
4. 中小企業における具体的活用シーン
実際に中小企業ではどのような活用が進んでいるのでしょうか。主なシーンを2つ紹介します。
① 社内マニュアルのAI化(総務・経理・ヘルプデスク)
ベテラン社員しか知らない業務知識や、分厚いファイルに綴じられたマニュアルをAIに読み込ませます。
- 活用例: 「経費精算ボット」
- 効果: 「領収書がない場合はどうすればいい?」といった頻出質問への対応を自動化。担当者が作業を中断して教える時間がなくなり、新人の即戦力化も早まります。
② 顧客対応・営業支援の標準化
過去のメール対応履歴や製品仕様書を学習させ、問い合わせ対応の品質を均一化します。
- 活用例: 「カスタマーサポート支援ボット」
- 効果: 顧客からのクレームメールを貼り付けると、過去のベストな対応事例を参考に、適切な返信文案を数秒で作成。担当者による回答のバラつきを防ぎます。
業種別のより具体的な導入事例や、ChatGPT以外のツールも含めた比較については、こちらの記事「【社員10名以下向け】工務店のAI活用術|月額数千円で「最強の新人」を雇う方法」で詳しく解説しています。
5. 料金・プラン:おすすめは「Teamプラン」
GPTsの導入にかかるコストを整理します。
作成するために必要なプラン
自社専用AIを作るには、以下のいずれかの有料プランが必要です。
- ChatGPT Plus(個人向け): 月額20ドル
- ChatGPT Team(中小企業向け): 1ユーザー月額25ドル(年払い)〜 ※最低2名から
- ChatGPT Enterprise(大企業向け): 要問い合わせ
推奨プラン
業務で本格的に利用する場合、「ChatGPT Team」プランを強く推奨します。
理由:
6. 注意点・制限事項:セキュリティは最優先で
便利なGPTsですが、運用には注意が必要です。
① 情報漏洩リスクと学習設定
個人向けプラン(Plus)で作成する場合、標準設定では会話内容がOpenAIの学習データとして使用される可能性があります。
対策: GPTs作成画面の「Configure」タブ最下部にある「Additional Settings」を開き、「Allow OpenAI to use chat data in your GPT to improve our models」のチェックを必ず外してください。 これにより、データが学習に使われるのを防げます(Teamプランの場合は標準でオフになっています)。
② 無料ユーザーの利用制限
無料ユーザーにGPTsを使ってもらう場合、利用回数に制限があります(具体的な回数は変動しますが、数時間ごとに制限がかかる場合があります)。制限を超えると、性能が低いモデル(GPT-3.5等)に切り替わったり、利用できなくなったりするため、業務でガッツリ使う社員には有料ライセンスの付与を検討しましょう。
③ 機密情報の取り扱い
いくらセキュリティ設定をしていても、マイナンバー、クレジットカード情報、未公開の重要機密などは入力させない運用ルール(ガイドライン)を策定することが重要です。
社内でAIを活用する際の法的リスクや最新のセキュリティ指針については、こちらの記事「【2025年最新】AI事業者ガイドライン更新!中小企業が今すぐやるべき3つのこと」で詳しく解説しています。
7. まとめ
GPT-4o対応と無料開放により、GPTsは「一部のIT好きが使うおもちゃ」から「中小企業の業務を支える実用ツール」へと進化しました。
【ポイントの振り返り】
- プログラミング不要で、自社マニュアルを覚えたAIが作れる。
- 作成は有料だが、利用は無料ユーザーでも可能になった。
- 業務利用ならデータ保護が手厚い「Teamプラン」が推奨。
まずは、社内でよくある質問(FAQ)や、簡単な業務マニュアルを1つPDFにして、テスト用のGPTsを作ってみることから始めてみてください。たった1時間の作業で、驚くほど優秀な「デジタル社員」が誕生するはずです。
